特定行政書士とは~実務に活かすことができる?

新人行政書士事務所の開業・運営・営業・実務マニュアル 行政書士の実務

平成27年から『特定行政書士』という資格制度が始まっています。

この特定行政書士となるためには、日本行政書士会連合会が実施する研修を受けたうえで、考査(試験)に合格することが条件になっています。

行政書士法には、特定行政書士の行える業務を次のように規定しています。

行政書士法第一条の三(抜粋)

行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること

簡単に言うと、これまで弁護士にしか認められていなかった、紛争性のある官公庁への不服申立てなどの代理や書類作成も、行政書士ができるようになる、という資格です。

では、この特定行政書士という資格を、今すぐに取得すべきなのかどうなのかを、私見を交えながら考えてみたいと思います。

特定行政書士になることで仕事の幅が広がるか

正直、『今のところ』行政書士が行政庁に対して不服申立てを行うような機会は少ない、というのが現状です。

ただ、顧客が自分で行った申請が通らなかったり、他の行政書士が行った申請を再度申請し、それでも通らなければ不服申立てを行う、といったことは考えられます。

そういった意味では、特定行政書士という資格を利用することで、今後仕事の幅が広がるかもしれない、とは言えるかもしれません。

何しろ始まったばかりの制度です。これから特定行政書士が何らかの実績を多数つくっていけば、そうした事例を参考にして新しい業務分野を開拓できる可能性はあるでしょう。

実際に必要性を感じれば取得すればよい

私自身は、相続や遺言といった分野をメイン業務に掲げています。ですから、この特定行政書士という資格は必要性がないので取得していません。

許認可申請に関しても、そもそも不許可にならないように要件を揃えてから申請しています。最初から不許可になることが確実な案件は受任しません。

また、これはどうかな、という案件があれば、まず申請する前に役所と相談するなどの下準備をして、条件が整ってから申請していますので、あまり必要性を感じていない、というのが正直なところです。

特定行政書士になるためにはお金もかかります

この特定行政書士の肩書を得るには、DVD視聴による研修と考査だけで8万円(平成30年8月現在)もかかります。新人行政書士にとっては、決して安い金額ではありません。

私は今のところ、そのお金を出すのであれば、今の自分の業務をもっと発展させることに使いたい、というのが本音です。

さらに、この特定行政書士の考査対策といった講座を開講している資格予備校もあるようですが、それだけ特定行政書士にどうしてもなりたい、という方が多いのでしょうか。

もし将来的に、特定行政書士の資格がないとどうしても困る、という時代になれば取得すればよいとは思っていますが。

新人行政書士は熟考してから取得しましょう

ということで、私は個人的に特定行政書士という肩書は必要ありませんので、正直なところあまり関心がないというのが実情です。

ただ、先にも述べた通り、特定行政書士はまだ始まったばかりの制度なので、この特定行政書士という資格を活かして活躍する方が、今後たくさん出てくるかもしれません。

特定行政書士という肩書を名刺などにどうしても記載したい、という方は別ですが、開業したばかりの新人行政書士の方は、自分が仕事を行っていく上で必要性を感じてから取得すればいいと思います。

日行連は盛んに特定行政書士となることを勧めていますが、特定行政書士となるメリットや、自分の仕事にプラスとなるかどうかなどを勘案したうえで、よく熟考してから検討してみてください。