安定収入への近道は顧客と長く付き合える業務を選ぶこと

新人行政書士事務所の開業・運営・営業・実務マニュアル 行政書士の実務

行政書士業務の多くは、その性質上、どうしても単発・スポット的なものが多くなります。

つまり、一つの案件を処理し終えてしまうと、普通はそこで顧客との接点がぷっつり切れるということです。

もっとも、顧客に自分の仕事が評価されて、次の仕事を頼まれたり他の顧客を紹介してもらえるという可能性はありますが、必ずしもそのような流れになるとは限りません。

事務所経営を安定させるには、こうした不確定な要素を期待して考慮することはできないのです。

では、顧客とできるだけ継続して接点をもち、行政書士が安定した仕事を確保できる道はあるのでしょうか。

顧客と長く付き合える業務を選ぶのが基本

新人行政書士が安定してコンスタントに仕事を得るには、やはり継続性のある業務をメインにするのが最も近道とはいえます。

例えば、建設業許可に関しては許可の更新を行ったり、毎年、営業年度終了報告書を出さなければなりません。

つまり、新規で許認可を取得したらそこで終わりではなく、更新のための書類作成や毎年提出する書類などを引き続き受注することで、ある程度の件数を抱えておけば、コンスタントに仕事が発生する可能性が高くなります。

また、外国人の在留許可などについても数年ごとに更新がありますから、こうした業務も継続した受注が見込める分野です。

たとえ一件の単価が低い仕事であっても、継続性のある業務を数多く受注して抱えておけば、コンスタントに仕事が入り、おのずと売上も安定する可能性が高くなります。

最初からスポットの大きな仕事を探すよりも、単価が低くてもいいから継続性のある仕事を数多く受注しておく方が、将来的にみると安定した収入を見込めることになるのです。

新人行政書士がこれからメイン業務を考える際には、この継続性という点に着目して選ぶのが、経営の安定という点では大事でしょう。

新規の見込み客を集客するのは、リピーターから再び業務を依頼されるよりもコストがかかることは、マーケティングの基本中の基本でもあります。

もちろん、スポットでも単価が高い業務を継続的に受注できる見込みのある方は、そうした分野をメインに据えても構いません。

やり方によっては、スポット案件から入り、業務をコンスタントに受注する仕組みをつくることも不可能ではありません。

しかし、新人行政書士の場合、まずは安定経営につながる継続性という点を重視するのが無難かもしれません。

さらに進んだ業務処理を目指す

そうした継続業務を抱え、やがて業務が軌道に乗ってくると、次第に一人での業務処理に限界が見えてきます。

そこで将来的には、業務をルーチンワーク化するような仕組みを工夫するなど、より効率的な業務処理を行っていくことを目指します。

すると、必然的に一件あたりの手間やコストが抑えられ、より多くの業務をこなせるようになることで、結果としてさらに安定した収入が得られるようになります。

また、こうした仕組みをさらに進めていくと、ルーチンワーク化した仕事は補助者などに任せるなりアウトソーシングするなどして、自分は新規の案件を受注することや、もっと大きな仕事の営業や実務に専念できる、という道も見えてきます。

こうした組織化がうまく回れば、行政書士事務所としてより安定した仕事が長く続けられるかもしれません。

このように、顧客一人ひとりといかに長く付き合えるかを追求していけば、安定した仕事、収入が得られるようになる可能性が高くなるのです。

これからメインの業務分野を決めていく方は、このような点も考慮しながら業務を検討するとよいでしょう。

完全な安定は保証されていない

ただし、建設業許可や外国人在留許可申請などの継続業務になりうる業務であっても、完全な安定は保証されていません。

なぜなら、次も許可の更新などを継続して頼まれるかどうかは分からないからです。また、顧客の会社そのものが倒産してしまったりすることも往々にしてあります。

もしかすると、価格を重視する顧客はこうした業務の更新などの業務を、もっと価格の安い他の行政書士事務所に依頼してしまうかもしれません。

特に、継続性のある許認可業務については、許認可を取得してからも顧客と密接にコミュニケーションをとるなどして、価格ではない部分で深いつながりを作っていくことが大事です。

行政書士は、単に依頼された仕事を無難にこなすだけではなく、顧客サービスを充実させ、できる限り顧客との信頼関係を築くような努力を怠らないことが重要なのです。

事務所経営の安定というところを目指しつつ、常に顧客との信頼関係を継続するような人間関係を築きながら経営していくことに注力しましょう。