職務上請求書の使用は怖くない~業務の効率化には必須です

新人行政書士事務所の開業・運営・営業・実務マニュアル 行政書士の実務

行政書士をはじめとする士業は、業務に必要となる範囲で顧客の戸籍や住民票を取得することができます。

この職権で戸籍や住民票を取得するための専用用紙が、『職務上請求書』です。

おそらく新人行政書士の方は、この職務上請求書について単位会や支部から、耳にタコができるくらい使用について注意するよう聞かされているかと思います。

そうした背景には、ごくごく一部の良からぬ行政書士などによる、職務上請求書の不正使用や横流しといった事例が相次いで発覚しているためです。

そのようなこともあり、新人行政書士の中からは、『職務上請求書を使うのは怖い』といった声もよく聞きます。

確かに、この職務上請求書は使い方を誤ると、懲戒処分はもちろんのこと、場合によっては刑事事件にも発展しかねないような重大な問題となりますので注意は必要です。

ベテランでも使わない人が意外と多い

前述の通り、職務上請求書は使い方を誤ると、重大な問題に発展しかねないものではあります。

ベテラン行政書士の中にも、できるだけ委任状をもらって対応している、という方も少なくありません。

許認可関連の業務については、必要となる添付書類が決まっていることがほとんどなので、確かに必要となる取得書類分の委任状で対応することも可能でしょう。

職務上請求書がないと非効率な業務もある

しかし、業務内容によっては、顧客からいちいち委任状をもらうのが困難なものもあります。

例えば、遺産分割協議書の作成や、それに付随して相続関係説明図などを作成するといった業務では、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取得して相続人を確認・確定しなければなりません。

ケースによっては、それこそ電話帳くらいの厚さになる戸籍を取得しなければならないことも珍しくはないことです。

こうした大量の戸籍を取得するたびに、いちいち顧客の委任状をもらっていたのでは非効率ですし、何より顧客の負担も大きくなってしまいます。

ですから、こうした業務では職務上請求書を活用して、効率的な仕事をする必要があるのです。

適正にきちんと使用すれば何も怖くありません

職務上請求書の使用については、事あるごとに注意喚起がなされることもあり、何となく使わないでもらいたいと言われているように感じている方もいます。

しかし、職務上請求書はきちんと適正に使用すれば何も怖いことはありませんし、別に使うなと言われているわけではないのです。

むしろ、職務上請求書は業務の効率化のためには必須なものです。

私は相続や遺言といった分野をメイン業務としているので、この職務上請求書がなければ仕事にならない、と言ってもいいくらい重要なものです。これまで使用した回数は数えきれません。

適正に使用すれば何も問題は起こりませんので、新人行政書士の方は業務の効率化という観点でも、過度に神経質にならずに、必要性があればぜひ活用しましょう。

職務上請求書についての注意点

ただし、新人行政書士の方は特に注意が必要な点があります。

一部の業者、特に探偵業などの中には、業歴の浅い新人行政書士を狙って業務の依頼を装い、他人の戸籍などを言葉巧みに取得させようとする輩も実際に存在します。

そうした怪しい依頼というのは、経験を重ねてくると肌で分かるようになるものなのですが、新人行政書士の方は、まず本人確認を徹底するなど、決して違法行為の片棒を担ぐようなことにならないよう十分に注意しましょう。

また、行政書士業務の中には他士業の力を借りないと完結できない仕事も多々あります。

そういった場合、自分の職務上請求書で取得できるのは、あくまでも行政書士業務に必要となる書類であるということにも注意してください。他士業の業務に必要となるものは取得することができません。

職務上請求書は業務の効率化をはかるために必要不可欠なものでもあります。過度に怖がる必要はありませんが、注意すべきところは十分に注意して、業務を円滑に進めるために活用していきましょう。