相談者を顧客にできる人とできない人の差は?

新人行政書士事務所の開業・運営・営業・実務マニュアル 行政書士の実務

同業者の行政書士や他士業の方と話をしていると、『相談者はそこそこ集まるのに、なかなか仕事にならない』といったことをよく耳にします。

一方で、『とにかく事務所まで来てもらえば仕事にできる』という方もいます。

私自身は後者です。相談業務を基本的に有料で行っているということもありますが、事務所まで来てもらえれば、業際にかかるものでなければ、ほぼ依頼につながっています。

もっとも、業際にかかるものは電話での簡単なヒアリングである程度の判断はできますし、見積もり額を値切ってくるような方や、怪しい依頼は一切お断りしてます。

では、仕事がとれる人、とれない人はどこに差があるのでしょうか。私見を交えながら考えてみたいと思います。

相談者を顧客にするための絶対条件

私の経験上、相談者をなかなか顧客にできない人には、主に次のような原因があるのかな、と感じています。

実務知識を得るための自己研鑽が足りない

これはそもそも論なのですが、相談者が求めている専門家としてのノウハウなどが伝わっていないこと、つまり実務知識の勉強不足という点があげられます。

今は一般の方でも、ある程度の知識はネットなどで簡単に調べられる時代です。相談者が求めているアドバイスというのは、そうした情報以上の価値ある専門家がもつノウハウです。

言うまでもなく、私たちはプロの専門職です。常に自己研鑽と情報収集に励むことは当然のことです。そこを怠っている方が意外と多いように感じます。

ちょっと話せば、相談者には『この人は頼りにならないな』ということをすぐに見抜かれてしまいます。その場しのぎの対応はまず通用しません。

実務上の細かい知識は、どうしても実務を経験しないと分からないところはありますが、まずは専門家としての自己研鑽を積み、相談者のニーズにこたえられるようにしておきましょう。

行政書士は実務に関する情報収集と行動が重要
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実務知識を得る書籍代はケチらない~見込み客からの相談に備える
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コミュニケーションスキルが足りない

行政書士も客商売ですから、相談者や顧客とのコミュニケーションスキルを高めることも大事なことです。

どこか自信なさげな態度であったり、声が小さい、ぼそぼそと話す、などといったことでは、とても相談者の信頼を得ることなどできません。

逆に、高圧的な態度であったり、初対面の相談者に対してタメ口で偉そうに対応するといったことも当然NGです。士業なんて偉くも何ともないですからね。

当たり前のようですが、意外とそういう態度の方もいるようで、そんな事務所に相談してしまった人がウチの事務所に訪れることも多々あります。こちらとしてはありがたいことですが。

人の性格はそれぞれです。普段は人見知りで人と話すことが苦手、という方もいるでしょう。私も普段は決して社交的なタイプではなく、どちらかといえば人見知りで口数も多くありません。

しかし、これから行政書士として仕事をしていくからには、そこは割り切って自己演出できるくらいの心構えがなければ商売になりません。

顧客の信頼を得る自己演出のテクニック
顧客の信頼を得るには、行政書士としての実力を示すことができれば最も早道です。 しかし、初対面の相手に対して、実績も経験も乏しい新人行政書士が自分の実力を伝えるのは難しいかもしれません。 もちろん、業務に関する知識を得るための自己研鑽に励み、顧客と対等に話ができるようにしておくことは大前提...

これがどうしてもできない、というのであれば、残念ながら行政書士という仕事には向いていないと思いますので、厳しいようですが他の仕事を探すことをお勧めします。

顧客となる可能性の低い人ばかりを相手にしている

これは特に、無料相談や初回相談無料といったことを打ち出して集客している事務所で、このような傾向が強いように感じます。

新人行政書士は、相談対応を学ぶために無料相談を利用することも悪くはありません。私も開業当初の1、2年くらいは初回無料相談を行っていました。

しかし、無料相談で集まる相談者から依頼につながる確率は、決して高くはありません。あくまでも私の経験上の話ですが。

行政書士の相談業務は無料にすべきなのか?
行政書士事務所によっては、相談業務を無料、あるいは初回無料相談としているところが多いと思います。 他士業においても、無料相談を打ち出しているところが多くなってきました。 確かに、無料相談というのは、敷居の高い士業の事務所へ見込み客を誘導するための手段として有効かもしれません。 また...

なぜなら、いわゆる『無料ハンター』『おしえて君』といった困った人も、かなりの割合で入ってくるからです。こうした人への対応は、まさに時間の無駄です。

無料相談を大々的に打ち出し、コストをかけて集客すれば、それなりの相談者数は集まります。しかし、依頼につながらなければ単なるコストの垂れ流し、タダ働きになってしまいます。

無料相談が絶対に悪いとまでは言いませんが、私の経験上では、依頼につながる効率的な集客の手段として使うことはあまりお勧めできません。

『無料じゃないと集客できない』という方もいますが、自己研鑽に励んでしっかりと専門性を打ち出し、戦略的にコストをかけて集客すれば、たとえ有料であっても相談者は集まります。

優良な見込み客というのは、そうしたところをしっかりと見抜いています。決して安いだけのサービスに飛びついたりしません。だからこそ無料に頼らない集客が大事になってくるのです。

そして、新規の優良な見込み客をタダで集客しようなどというのは甘い考えです。今すぐ考え方を改めましょう。

行政書士は無料で集客できると思っていませんか?
今でこそビジネス感覚に優れた行政書士が増えてきましたが、いまだに集客にかかるコスト意識を軽視しているのが行政書士業界の現状です。 とりあえず事務所のホームページを作成して、知り合いに開業の挨拶状でも出して、行政書士会の集まりにでも参加しておけば仕事がくる、と思っている新人行政書士の方が結構多い...

優良な相談者を集めることが重要です

ちなみに、私の事務所は基本的に無料相談は行っていません。特に、いわゆる『一見さん』については、しっかりと相談料をいただいています。

有料でも相談したい方というのはかなり本気度が高いので、それでも事務所に来てもらえれば、ほぼ依頼になります。

ただし、有料相談というのは相談者の本気度が高い分、自己研鑽やビジネス上のコミュニケーションスキルというものを徹底的に磨くのが必須条件です。

何しろ百戦錬磨の経営者であったり、ある程度の情報をすでに得ている方が相談相手ですから、今でも緊張感が伴います。

それくらい相談業務というのも大事な仕事であり、安易に無料相談を打ち出して『それなり』の対応をしているようでは、なかなか仕事をとることはできません。

事務所の経営方針は様々でしょうが、もし相談者はそこそこ集まるのにクロージングにまで至らない、という方は、上記のような点を考慮して改善をはかってみてはいかがでしょうか。

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