開業当初から専業行政書士が利益を追求するなら組織化が早道

新人行政書士事務所の開業・運営・営業・実務マニュアル 行政書士事務所開業

行政書士だけで身を立てている人の割合というのは、実はそう高くありません。

例えば、他士業との兼業であったり、他に安定した収入源をもっている、いわゆる副業行政書士であったり、あるいは生活基盤はすでに年金という方も多数います。

正確な数字はわかりませんが、実際の感覚としては、行政書士専業という方は全体の1~2割程度といったところでしょうか。

では、新人行政書士が専業で、果たして最初から商売を成り立たせることは可能なのかどうかを考えてみたいと思います。

専業と副業どちらがよいのか

私自身は専業行政書士ですが、一応それで何とか身を立てていますし利益もあげています。

専業と副業のどちらがよいのか、というのはそれぞれの状況により異なりますが、個人的には行政書士としての仕事がきちんとできるのであれば、どちらでも構わないと思っています。

どちらが良い、悪いというのはありません。

ただし、行政書士の仕事、特に許認可系の仕事というのは、書類作成や役所との折衝、打ち合わせなどの時間コストをしっかり意識しないと、まったく割に合わない仕事をすることになってしまいます。

単に依頼された仕事を一人ですべてこなすということになると、最初から専業行政書士で採算をとっていくのは非常に大変です。

さらに、見込み客と対等にビジネスをするうえでは、実務知識を得るための自己研鑽というのも欠かすことはできません。

ですから、開業当初から利益を出すには、時間コストと手間をできる限り減らしていくという工夫や仕組みづくりが重要になってきます。

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具体的な仕組みづくりとは

では、具体的にどのように時間コストや手間を削減していくのかというと、集客の仕組みを構築して業務の効率化をはかる努力をしたうえで、やはり他力を活用するしかありません。

見込み客を集客する仕組みの構築自体は、それなりにコストをかければそれほど難しいことではありません。問題は、集客した見込み客を顧客にするためのスキルを高めることです。

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そのうえで、ある程度の実務経験を積むことができたら、次のステップとして取りこぼしのない受注体制をつくっていく必要があります。

例えば、一件の仕事に対して複数の行政書士で対応する仕組みを構築しておく、といったことが考えられます。つまり、組織化して業務に対応するということです。

場合によっては業務そのものを外注してしまうといったことも、全体の利益をあげるという意味では有効かもしれません。

こうした仕組みがうまく回るようになってくると、専業にしても副業にしても時間コストや手間が分散できますから、結果として効率的な仕事ができるようになります。

一件の一人当たりの報酬額は当然少なくなりますが、その分の時間を集客や違う仕事に割り当てることができるので、一人ですべてを完結するよりも、結果として大きな利益が出せる可能性を秘めています。

また、ある程度利益が出るようになってきたら、補助者を雇ってルーチンワークや書類の提出代行などを任せてしまうことで、さらに効率や利益が上がってくることになるでしょう。

さらに利益があがってくれば、税金面でも有利な法人化というのも選択肢になってきます。

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売上よりも利益が出る事務所経営を目指す

正直、開業したばかりの専業行政書士が、一人だけですべての仕事をこなして利益を出していくのはとても難しいことです。

私の感覚では一人行政書士の場合、扱う業務により多少異なりますが、まともに一人ですべての仕事をこなしていたら、月商70~100万円程度が限界かと思います。

事務所経営は一応成り立ちますが、事業としてはかなり物足りない数字です。

まして実績や経験の乏しい新人行政書士の方であれば、もっと数字は下がるでしょう。

だからこそ実務経験をある程度積むことができたら、何らかの形で組織化という意識をもつことが重要となってくるのです。

経営者として知恵を絞って効率化や時間コストの削減などに取り組み、自己研鑽も怠らなければ、という条件付きではありますが、開業当初から十分専業行政書士の経営は成り立ちます。

行政書士は目先の売上よりも、先を見据えた利益の出せる経営を目指すことが大切です。

もっとも、他力を活用する以上は、まず信頼できる人脈を作っていくことが重要です。同業者はもちろんのこと、他士業とのパイプというのも積極的に構築していかなければなりません。

行政書士として仕事をする上では、この人脈形成というのは絶対に欠かせない要素です。

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まだ仕事を始めたばかりの新人行政書士には、あまりピンとこないかもしれません。

しかし、もし専業行政書士として身を立てていくつもりであれば、最小限の動きで最大限の利益を出す、という仕組みづくりを構築していく努力をしていきましょう。