個人事業主の行政書士でも退職金がもらえる?~小規模企業共済制度

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大多数の行政書士は、いわゆる個人事業主として開業するケースがほとんどでしょう。

個人事業主には、当然のことながら一般企業のような退職金も厚生年金もありません。

個人事業主の老後の生活保障は国民年金ということになりますが、多くの方がご存じの通り、国民年金のみでは満額支給されたとしても、老後の生活保障には十分とは言えません。

行政書士には定年がないのだから年齢に関係なく生涯現役で働けばいい、という考え方も確かにできます。

ただ、70代、80代の行政書士が若いときのようにバリバリ働ける保証はどこにもありません。

何よりクライアント側からすれば、あまりに高齢な行政書士だと不安を抱かれる可能性は高いでしょう。

いくら定年がない職業とはいえ、いつかは『引退』せざるを得ない時期がやってくると考えておくべきなのです。

そこで加入を検討したいのが『小規模企業共済制度』です。

国の機関である中小機構が運営する共済制度

小規模企業共済制度というのは、国の機関(独立行政法人)である中小企業基盤整備機構が運営する小規模自営業者などのための退職金制度です。

この制度は、意外と認知度が低い(というよりほとんど知られていない)ので、もしかすると初めて知った方が多いかもしれません。

私自身もこの制度を知らなかったのですが、たまたまお付き合いしている税理士さんと税金対策の雑談をしている中で教えてもらいました。

この小規模企業共済制度に加入できるのは、主に以下のような要件に該当する方となります。

  • 常時使用する従業員が20人以下の個人事業主、会社役員、商業やサービス業の場合は5人以下
  • 常時使用する従業員が20人以下の企業組合・協業組合の役員など
  • 常時使用する従業員が5人以下の弁護士・税理士法人など士業法人の社員
  • 小規模企業者たる個人事業主に属する共同経営者

ということで、一般的な個人開業の行政書士は要件を満たしていることになります。開業当初からいきなり何十人も雇い入れるという方は、ほとんどいないと思いますので。

小規模企業共済制度のメリットとデメリット

小規模企業共済制度はメリットが多いのですが、いわば一種の『金融商品』という性質もありますから、リスクやデメリットもあります。

小規模企業共済制度のメリットとデメリットは、主に以下のようになります。

小規模企業共済制度の主なメリット

  • 全額国が出資している公的機関であること
  • 毎月の掛け金は全額経費計上できること
  • 受け取り時には退職金扱いとなり、税制面でメリットがある
  • 納付した掛け金の範囲内で必要に応じて事業資金の借り入れが可能
  • 少額の掛け金から始めることができる

中でも、掛け金が全額経費計上できることや、少額の掛け金から始められる点は大きなメリットになると思います。

掛け金は1,000円から7万円まで設定でき、増減することも可能なので、最初は小さく始めて売上規模に応じて掛け金を増額していくという手法もとれます。

これであれば、開業当初の新人行政書士であっても無理なく加入しやすいのではないでしょうか。

退職金は一括または分割で受け取ることもできます。

なお、掛け金は年間の一括払いも可能です。仮に月7万円の掛け金を支払ったとしたら、84万円全額を経費計上できますので、かなりの節税効果となります。

そして、もし7万円を30年間払い続ければ、リスクを考慮しないとすると約3千万円ほどの退職金を受け取ることができる計算になります。

これは一般的な企業の退職金よりも多いかもしれませんね。

小規模企業共済制度の主なデメリット

小規模企業共済制度は一種の金融商品ですから、当然のことながらリスクもあります。主なデメリットとしては以下のようなことが考えられます。

  • 20年以上加入していないと元本割れする
  • 経済状況の変化などで受け取り金額が変動する可能性あり
  • 予定利率の変更などで受け取れる金額が変動する可能性がある

もっとも、元本(掛け金)を受け取れる保証がないのは年金なども同様ですから、デメリットとしてはそれほど慎重に考慮する必要はないかもしれません。

当然、掛け金を払い込む期間が長いほど受け取ることができる金額も多くなりますので、特に若手の行政書士は加入することを積極的に検討してもよいのではないでしょうか。

小規模企業共済制度は安心して仕事を続けていくうえでも心強い

一般的に、個人事業主やフリーランスで働いている方というのは、老後の生活について何の保障もないという点が将来的な不安要素ともいえます。

小規模企業共済制度は、かなりメリットが大きい制度であるにもかかわらず、ほとんど認知度がありません。国も、もっとこうした制度を積極的にアピールするべきなのですが。

加入手続きを行う窓口のひとつである銀行の方でさえも、実はあまり制度をよく理解していないということもありますしね(私の体験談です)。

ただ、小規模企業共済制度というのは、個人開業の行政書士にとって老後の生活保障というものを考えるうえで大きな選択肢のひとつといえます。

漠然とした将来の不安を抱えることなく、安心して仕事に打ち込むためにも、こうした制度をぜひ積極的に活用していきましょう。

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