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行政書士事務所運営・経営

行政書士の相談業務は無料にすべきなのか?

新人行政書士事務所の開業・運営・営業・実務マニュアル 行政書士事務所運営・経営

行政書士事務所によっては、相談業務を無料、あるいは初回無料相談などとしているところが多いと思います。

他士業においても、無料相談を打ち出しているところが多くなってきました。

確かに、無料相談というのは、敷居の高い士業の事務所へ見込み客を誘導するための手段として有効かもしれません。

また、新人行政書士にとっては、相談業務というのは顧客とのコミュニケーションを学ぶいい機会ですから、一人でも多くの見込み客と接する手段としては、無料相談も意味があるでしょう。

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無料相談で本当に依頼する顧客が集まるのか

そこで考えたいのは、勉強としての無料相談という考え方は別にして、本当に無料相談で『依頼する顧客』が集まるのかどうかです。

実際、私も開業当初は無料相談を行っていましたが、確かに相談者は多く集まりました。

しかし、その中で実際に業務を成約できたのは、10件の相談の中で1件あるかないかといったところでしょうか。私の相談対応が未熟だったこともあるでしょうが。

そして、現在は無料相談は原則行っていません。

無料相談の時間というのはお金を一銭も生み出しません。例えば1時間の無料相談を一日に4回行っていれば、依頼がなければその4時間はまったくのタダ働きになります。

つまり、一人の見込み客に対する時間と業務の受注率を考慮すると、実は無料相談というのはかなり割の合わないやり方なのです。

もし、無料相談を次の段階、つまり業務の受注にまでつなげる確率を上げたいのであれば、その後の明確な営業戦略を立てて行う必要があると思います。

無料相談で集まる人の質はそれなりの人が多い?

私が無料相談をやめたのは、一人の見込み客に対する時間と受注率を考えた末の結果です。

また、このような言い方は適切ではないかもしれませんが、無料相談にやってくる人というのは『それなりの人』であることが多いと感じています。

とにかく無料だから、という理由だけで相談に来る人は、かなりの確率で他の事務所の無料相談にも行っています。

これも決してよい言い方ではないかもしれませんが、『無料ハンター』とでも言うのでしょうか。

こうした見込み客が必ずしも依頼にならないとは限りませんが、業務の受注率が低い無料相談に使う時間を、もっと有効な営業活動に活用したかったのです。

もちろん、無料相談を行っている事務所は間違っている、というつもりはありません。あくまでも私の個人的な経験上からの経営判断です。

一対一より一対多数の人を相手にする~セミナーの利点

無料相談を行うのであれば、多数の人に一度でアプローチができるセミナーといった形の方が割に合っているかもしれません。

事務所での無料相談の場合、一人の見込み客に対して1時間を使うのに対し、同じ時間で多数の人を相手にできるのは、とても効率がいいからです。

仮にセミナーで10人しか集客できなかったとしても、そのうちの1人を顧客にできれば十分にペイできますからね。

ですから、私としては事務所で一対一の無料相談を受けるよりも、新人行政書士は多数の人を集めたセミナーや相談会を実施してみることをお勧めします。

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有料でも相談したいという顧客を増やすために

私が無料相談をやめたもう一つの理由は、無料相談と掲げているにもかかわらず、相談料を支払おうとしてくれる人が多くなってきたからというのもあります。

相談業務を有料にすることによって確かに相談者は減少しましたが、業務の受注率はかなり向上しましたね。

また、プロとして自信をもって顧客に接することができるようになってきた、ということもあるかもしれません。一応、お金のとれる対応ができるようになったのだと思います。

無料相談で集客できていても、雑な対応をしている事務所が少なからずあります。

一人ひとりの相談者と真剣に向き合う姿勢で相談業務に臨むということだけでも、それが付加価値につながるのです。相談者というのは、そうした点をしっかり感じているものです。

考えてみれば、私たちはプロとしての知識や経験を生かして仕事をするのが商売ですから、たとえ相談であっても、有料で受けるのが本来の姿勢なのではないでしょうか。

それぞれの事務所で様々な考え方があるでしょうが、相談業務に限らず、プロとして相応の対価を得られる、利益の出せる行政書士を目指しましょう。